みんなで取り組む「チーム医療」
チーム医療という言葉をご存じでしょうか。特にがんなど、中・長期入院をされている方や、
その身内の方は関心が高い事かも知れませんね。
チーム医療とは、簡単にいえば医療従事者ならびに患者本人、
そして患者とのつながりの深い関係者全員が関わる新しい医療の姿勢です。
これまでの医療モデルでは、担当部署、担当医がすべてを統括するというものでした。
そのため担当医は治療方針、看護師などの使い方を全て自分で決めることになっていました。
しかしこの医療モデルにはいくつかの欠点があります。
まずは患者本人に大きなストレスがかかること。
自分がどんな治療をされているのかわからない、たった一人の医師に自分のすべてをあずけなければいけない。
こんな不安なことはありません。
もちろん医師には説明の義務がありますが、
主治医が「こうだ」と言えば、それに従うのみという雰囲気は無言の圧力になっていました。
また医療機関内にもこの医療モデルの欠点は影響を与えます。
たとえば医師や医局内の連携不足や対立。
そのせいで看護師が自主性を失ってしまったり、
外科が内科的処方をないがしろにした結果、理想的な治療ができないといった問題があります。
そこで医師、科といった隔たりを撤廃し、
患者に関わる全ての人を適材適所でつかって、効率的な治療をしようというのがチーム医療の概要です。
具体的には、
・治療方針の決定に外科・内科はもちろん、麻酔科・放射線科といった垣根を越えたチームで決定していく。
・臨床心理士やカウンセラーとも情報を共有し、物理的な治療以外についても情報を共有する。
といったことがあげられます。
もちろん、チーム医療にもまだまだ課題はあります。
この医療モデルでは患者本人やその身内などもチームの一員に含まれますから、
医療従事者以外の医療への干渉が起りやすくなります。
もちろんそれは尊重されるべきものではありますが、それで治療が滞ってしまってはいけません。
チーム内の全員が理解と共有を持って治療にあたるというのは、
口で言うより遙かに難しいことなのです。
日本ではまだまだ普及しているとは言いがたいチーム医療。
しかし、少しずつ、しかし着実に日本の医療に根付いてきているのです。